日本神話にひっぱりだこ「十束剣(とつかのつるぎ)」とは?

日本の成り立ちを語る上で欠かせない『古事記』と『日本書紀』には様々なつるぎが登場します。最も有名なのは三種の神器にも数えられる草薙の剣でしょうか。

今回は大活躍しているのにあまり知られていない十束剣についてまとめました。

十束剣(とつかのつるぎ)とは?

束とは長さの単位で拳一つ分の幅を意味します。つまり十束=拳十個分の幅(約75.8㎝~78.8㎝)の剣ということになります。別名として「十握剣」「十拳剣」「十掬剣」などの表記があります。

イザナギの息子殺しで使用される

初登場はショッキングな場面でした。

日本列島を作った神、イザナギイザナミはたくさんの神様を生み出しますが、35人目に生んだ神様が火の神だったので、イザナミはひどいヤケドを負い、それが原因で亡くなってしまいます。妻を殺した息子を許せなかったイザナギは十束剣を使い、息子を斬り殺してしまいます。

黄泉の国から逃げ帰るとき後ろ手に

イザナミに会うため黄泉の国を訪れたイザナギですが、あまりに変わり果てたイザナミの姿に驚き、黄泉の国から慌てて逃げ出します。黄泉醜女(死の汚れを擬人化したもの)に追いかけられながら、地上に逃げ帰るイザナギの手には十束剣が。

アマテラスとスサノオのけんかによって剣は神に・・・

十束剣はイザナギが最後に生み出した神様の一人、スサノオに受け継がれます。性格は横暴であると伝えられており、姉のアマテラスをよく困らすことで知られています。ある時、スサノオがアマテラスと大ゲンカをして、十束剣を持ち出しますが、アマテラスはそれを奪い、なんと噛み砕いてしまいます。吐き出された十束剣の破片からは、3人の女神さまが誕生しました。

ヤマタノオロチを退治!

スサノオは地上に降り立ちるとクシナダ姫に一目惚れ。姫のお願いを聞いてヤマタノオロチを退治することになりました。十束剣を使って大蛇をめったぎりにします。尻尾を切り落とした時に、何かに当たり、刃が少し欠けてしまいます。このなにかとは、後に三種の神器となる草薙の剣でした。

タケミカヅチが交渉道具に使う

地上はスサノオの子孫であるオオクニヌシという国津神(地上生まれの神様)が治めていました。天の神様であるアマテラスはこれをよく思わず、国を乗っ取るためにタケミカヅチを地上に派遣。タケミカヅチは十束の剣でオオクニヌシを脅し、国を乗っ取ることに成功します。ちなみに、オオクニヌシは出雲大社を建てて、そこに住むことになりました。

兄弟げんかの末に釣り針に変えられてしまう

地上を治めるべく、アマテラスの命令により、子孫のニニギが派遣されます。ニニギは地上に降り立つやいなや、コノハナサクヤ姫に出会い即結婚。二人の間に三兄弟が生まれます。長男のウミサチはその名の通り海の幸の神様。末っ子はヤマサチで山の幸の神様。ある時、ヤマサチはウミサチに大切な釣り針を借りますが、うっかり釣り針を無くしてしまいます。ウミサチの怒りを鎮めるため、十束剣を潰し、500個の釣り針にして献上しました。

まとめ

以上、時系列順に十束剣の登場シーンをまとめてみました。バリエーション豊かな活躍で、他の剣とは一線を画している興味深い剣です。

それぞれの十束剣の別名は以下のようになります。

  • イザナミ所有時・・・天之尾羽張(あめのおはばり/あまのおはばり)
  • ヤマタノオロチ退治時・・・天羽々斬(あめのはばきり、あめのははきり)
  • タケミカヅチ所有時・・・布都御魂剣(ふつみたまのつるぎ)

重要なシーンでカギとなることが多く、日本神話に欠かすことが出来ない剣です。十束剣を追っていくと、日本神話の大まかな流れを自然とつかめることが出来ますよ。

図解 日本神話 F‐Files

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