『新感染 ファイナル・エクスプレス』に登場するのは新幹線じゃなくてKTX
まずは作品情報

ソウル発プサン⾏きの⾼速鉄道KTXの⾞内で突如起こった感染爆発。疾⾛する密室と化した列⾞の中で凶暴化する感染者たち。感染すなわち、死ー。そんな列⾞に偶然乗り合わせたのは、妻のもとへ向かう⽗と幼い娘、出産間近の妻とその夫、そして⾼校⽣の恋⼈同⼠・・・果たして彼らは安全な終着駅にたどり着くことができるのか―?⽬的地まではあと2時間、時速300km、絶体絶命のサバイバル。愛するものを守るため、決死の闘いが今はじまる。彼らの運命の⾏き先は・・・。
Filmarks
ダジャレのタイトルからは予想がつきませんが、思ったよりもシリアスな作品になっているようです。原題は『부산행』で日本語にすると「釜山行き」という意味。英題は”TRAIN TO BUSAN”でほぼ原題通り。どうして日本だけこんな扱いになってしまったのでしょう??
韓国発ゾンビ映画大作
韓国では、ゾンビ映画はヒットしないという定説があるそうです。
これは、アジア全般で言えることだと思います。ぞろぞろと歩く大量のゾンビや、派手なアクションシーンは苦手分野ですからね。
なので、韓国発のゾンビ映画が製作されると聞いたとき、ついに!と期待が高まった反面、不安も同じくらい大きかったのを覚えています。

同年、日本でも本格ゾンビ映画『アイアムアヒーロー』が製作されている((C) 2016 映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C) 2009 花沢健吾/小学館)
韓国でも、同じように思った人は多いようですね。それを考慮して、本国公開時には「ゾンビ」というワードは、一切使われませんでした。実際の本編でも全く登場しません。
しかし、この誰が見ても「ゾンビ映画」な本作は、定説を覆し大ヒットします!
結果、今では韓国で、ゾンビブームが巻き起こってるそうです。
舞台は走る密室、新幹線?
邦題に引っ張られて、勘違いしていましたが、この作品に登場するのはKTXという高速鉄道です。厳密には新幹線ではありません。

韓国高速鉄道(かんこくこうそくてつどう、英: Korea Train eXpress, KTX)は、大韓民国(韓国)の高速鉄道システムである。フランスのTGVの技術を全面的に導入しており、営業運転での最高速度は305km/hである。
ウィキペディア(Wikipedia)
日本の新幹線とは全く違うもので、正式名称は韓国高速鉄道。外見も性能も新幹線と同じように見えますが、何が違うのでしょうか?
KTXは、フランスのTGVの技術を用いたもので、日本の新幹線方式に比べると、圧倒的に製作費が少なくて済みます。その理由は、在来線の線路を利用できるということにあります。これによって、新たに線路を作らなくても良いので、低コストかつスムーズに導入できます。
しかし、トラブルが多いという問題点もあります。日本の新幹線は「安全神話」などという言葉もあるくらいですが、KTXは導入当初からトラブルが多発しています。2007年の衝突事故を始め、2011年には脱線事故、2013年にはまた衝突事故を起こしています。誤動作も頻繁に起こっており、その安全性については、韓国国会でも問題になっているほどです。
安全性には不安がありますが、実際に乗ったことのある友人は、乗り心地については、日本の新幹線よりも良かったと言っていました。一度は乗ってみたいですね。
ちなみに、劇中と同じくソウル発プサン行きの所要時間は3時間弱。東京から新大阪へ行くのよりちょっと長いくらい。
料金は約57,300ウォン。日本円にして5200円くらいです。
前日譚『ソウル・ステーション パンデミック』も注目!
実は、ヨン・サンホ監督は、『豚の王』、『フェイク』などの長編アニメ映画で、有名な監督なんです。そんな彼が、今作の前日譚として製作した長編アニメ映画が、『ソウル・ステーション パンデミック』です。

((C) 2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & Studio DADASHOW All Rights Reserved.)
風俗店から逃げ、恋人キウンと同居するヘスンだったが、彼はへスンの体を売ることでしか金を得ることができなかった。このことが原因でケンカし、家を飛び出したへスンは一人で夜の街をさまよう。一方、ソウル駅では死んだはずのホームレスが生き返って人を襲い、襲われた者はゾンビと化し犠牲者が激増していた。キウンは、彼女と彼女の父だという男を捜し……。
シネマトゥデイ
ヨン・サンホ監督、主戦場での本領発揮となるでしょうか。
予告編
大量のゾンビに爆走する列車。迫力満点ですね!
前売り特典の特製絆創膏ちょっと欲しい・・・
鑑賞したので感想
ゾンビ×新幹線という贅沢な組み合わせ。走る密室で感染パニック!
洋画みたく、ヘタに軍人とかいないし、当然銃器もない。アイデア(主人公)と腕力(ロバート秋山似)のみで乗り切るところが、アジア映画らしくてイイですね。
噛まれたら感染。動き・音に反応。そして結局は人間の方が恐ろしい。
近年のゾンビ映画ルールに則った本格派です。
主人公の娘を、もうちょっと可愛い女の子にして欲しかったな。スカート履くまで分からなかったよ。