なぜアメコミのヒーローはチベットへ修行に行くのか?

 

 

ヒマラヤで訓練を受けるブルース・ウェイン(出典:Batman Begins Official Trailer)

『バットマン ビギンズ』で主人公のブルース・ウェインは超自然的な存在を目指し、ヒマラヤを訪れます。そこで、ラーズ・アル・グールが率いる、影の同盟のメンバーとして訓練を受けることに。恐怖を克服し、強靭な肉体を手に入れたブルースは、バットマンとしてゴッサムシティのヒーローになります。

多くのヒーローがチベットを訪れている

マーベル・コミックスの『ドクター・ストレンジ』で、天才外科医の主人公は、交通事故で両腕に後遺症を負ってしまいます。あらゆる治療法を試した末にたどり着いたのは、カトマンズの修行場カマー・タージ。カトマンズはチベット人が多く住む地域であり、チベット仏教の寺院が点在しています。スティーヴン・ストレンジは寺院での過酷な修行の末、魔術師として生まれ変わります。

その他には、NetflixのオリジナルMarvelドラマシリーズ四作目『アイアン・フィスト』でも、チベットが修行の場として選ばれ、主人公が功夫をマスターしています。

指導者エンシェント・ワンに弟子入りするスティーブン・ストレンジ(出典:「ドクター・ストレンジ MovieNEX」予告編)

世界中を旅した最後に辿り着くチベット。この地でヒーロー達が修行を決意する理由とは?

教えを説く指導者の存在

作品に共通するのは、超人的な能力を持つ指導者の存在です。『バットマン ビギンズ』ではヘンリー・デュカートが、『ドクター・ストレンジ』ではエンシェント・ワンがその役割を担います。アメコミの二大出版社である、マーベル・コミックとDCコミックのどちらでも登場するので、チベットの指導者像は業界におけるデファクトスタンダードであることは明らかでしょう。

チベットの高僧といえば、長らくフー・マンチューのような、長身痩躯で立派なドジョウひげというイメージが強く持たれていましたが、近年その固定観念が崩れ始めています。例えば、『ドクターストレンジ』のヘンリー・デュカードは、イギリスの白人女性、ティルダ・スウィントンが演じています。

映画『ゴールデン・チャイルド』では不思議な力をあやつる少年が登場する。(出典:パラマウント映画)

指導者像は時代と共に変化しながらも、チベットには師とべき人物が存在するという考えは変わっていません。

チベット仏教の影響

(photo by Amar)

チベット仏教の大前提は智慧方便と言われます。智慧とは一切の現象や、現象の背後にある道理を見きわめる心作用を意味する仏教用語。方便とは信解・菩提心・大慈悲などの実践とされています。どちらも優れたヒーローには不可欠なもの。

また、チベット仏教は輪廻転生を信仰しています。来世の転生は現世の行いによって決まるため、日頃から良い行いを心がけているのです。苦悩や誘惑に打ち勝ち、さらに強くなって生まれ変わるヒーローがイメージ出来ますね。揺るぎない正義感も培われると考えられます。

地理的要因

チベットは、世界の屋根と称されるチベット高原に位置しています。南には世界最高峰のチョモランマ(海抜8,848m)擁するヒマラヤ山脈が連なり、三大聖湖を含む大湖沼がいくつもあります。標高が非常に高いため、夏季が無く、空気も薄い。高山病にかかってしまう観光客も多くいます。

チョモランマ/エベレスト(photo by Luca Galuzzi)

文明の利器に乏しく、雄大な自然環境に身を置くことで、身体と精神を同時に鍛えることが出来ます。チベットの過酷な環境はヒーローが修行の場とするにふさわしいのです。

 

ヒーローたちがチベットにたどり着くのは偶然ではないのかもしれません。

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